2007年11月28日水曜日

渋谷の歯医者

14:30 新橋



新橋で健康診断を受けた。
とにかく心電図検査が非常に苦手だ。
詳しい話は面倒なのでしないが苦手だ。
どうにかしてもらいたい。

健康診断の後、吸い取られたエネルギーを回復すべく王将で餃子定食を食し、その足で品川に向かった。

15:40 品川



品川には現在の仕事場がある。
が、目的は仕事ではなく、歯の治療だ。
しかし、どこに歯医者があるのか知らない。
職場の人がたまにナカヌケして歯医者に行くのを見ていたから、間違いなくあるんだろうが、いくら探しても見つからない。
病院の看板はすべて美容系の怪しいものばかりなのだ。
そこで交番で尋ねてみることにした。

ところで警官の仕事ってそういうのだっけ。
という疑問がゼロではなかったが交番の前に立っている警察官と目が合ったので聞いてみた。

俺:「すいません、歯医者を探しているんですけど、この辺にどこかないですかね。」

警官:「え、歯医者ですか?」

俺:「はい、歯医者です。」

すると警察官さん、俺の心配をよそに超真剣に考えはじめてくれた。
顔をしかめ、自分の頭の中に答えがないことを確認すると、交番の中に入って電話帳を広げ始めた。

いや、グーグルマップがあれば一瞬なんだけど。
とは決していえなかった。

それにしても電話帳をパラパラめくる姿をみて、いつでも問合せ結果が異なりそうな超アナログ検索に不安を覚えた。
そういえば、一昔前はみんなこうだったんだよな。
と納得しかかったが、今は一昔前ではない。

携帯のネットで調べればよかったんだけど、
こんなときに限って、携帯の液晶パネルが割れてしまっていたのだ。
多分、俺のケツ圧によるものと思われる。

警官:「意外にないですね~。」

グーグルには決してできない人間味のある答えが返ってきた。
しばらくすると、別件の対応が終わった警官も検索に参加してくれた。

警官2:「え、歯医者?」

俺:「はい、おすすめの歯医者です。」

警官2:「おすすめですか!」

二人とも超真剣に電話帳をめくっている。
いい人たちだ。
しかし警官二人分の電話帳検索、予想以上に結果が出てこない。
メモリ上にロードされていない、インデックスが作成されていない、は仕方ないんだが、
テーブルスキャンにしても遅すぎる。

たまりかね、

俺:「そんなにないもんですか。職場がすぐその先だから、まあ行って聞けばいいんで・・・。彼らよく歯医者に行くってるから近くにあると思うんです。」

そろそろ立ち去ろうかという思いを込めてそう発したところ、それなら間違いなく歯医者があるということじゃないか!と思ったか、よりムキに探しはじめてしまった。
いやー、そういうつもりじゃなかったんだが。


夕暮れ時、机に向かう制服姿の二人をみ、
なんとなく小学校の先生になったような気分を覚えた。

がんばりの甲斐があり、次第に結果が出始めてきた。

警官1:「えー、ここはどうですか?高輪シャルダン203。マンションですね。その向こうのタリーズ曲がったところ。」

俺:「え、ちょっと遠くないですか?」

警官1:「そうでしたね。(笑」

警官2:「おー、ここ女医だよ。女の先生好きでしょ?斉藤孝子歯科、どうですか?」

俺:「おすすめだったらどこでもいいんですが。」

警官2:「いやー、おすすめかは行ってみないとです。がはは。あ、でもこれは五反田だ。」

警官1:「高輪3丁目のほうにいくと、(地図を指差し)ほら、ここにもありますよ。」

俺:「いや、それ矯正専門じゃないですか?普通の虫歯なんですが。」

警官2:「ちょっとみてよ、ほら、けっこう見つかったよ。鉛筆で丸つけました。これ全部歯医者です。(誇らしげ)」

俺:「住所は?」

警官2:「えー、北品川1の3の、、」

警官1:「かなり遠いですね。」

警官2:「じゃあ、高輪3の、、、」

警官1:「あ、それはここですよ、セブンイレブンのわきのです。」

俺:「おー、近いじゃないですか。じゃあそこにします。」

警官2:「え、いいの?」

俺:「いいです。」

警官2:「ほんとにいいの?」

俺:「(もう)いいです。どうもありがとうございました!」

ということで、交番を無事脱出した。

こんな近くにあんなら初めから知っててもいいだろう、
と思いつつ、行ってみると、矯正専門って書いてある。おいオッサン!!

こうなったらと、高輪シャルダン203に行ってみると、すげえ普通のマンションだ。2階に上り、あまりに怪しいので戻って管理人に聞いてみる。

俺:「2階の歯医者って普通の歯医者ですか?」

普通の歯医者ってなんか変な聞き方だったかな・・。

管理人:「あー、さっき先生と看護婦さんが出て行ったからお休み中かもしれないね。予約制って聞いてるけど行ってみたらどうかしら。」

結局、普通の歯医者かどうかは答えてくれなかったが、ドアの前まで行ってみた。
やっぱりすごく怪しい。
まったく歯医者っぽさを感じない。
ドアにはプラント研究所と書いてあり、さらによく見ると


  保険診療はやっておりません


と書いてある。

うわー、あんのかよ。
さすが高輪。もう帰ろう。


駅に向かうと、さっきの警官が立ってる。
なんか気が引ける。
あれだけ頑張って探してくれたのに歯医者に行かずに帰るのは・・。
なので、警官の視界に入らないように被ってた帽子なんかも脱いだりして、さささっと人ごみに紛れてその脇を通り抜けた。

品川の歯医者 searched by google maps

アナログ検索と、グーグル検索。どれだけの時間差とコスト差があったんだろう。

もし交番をコンサルしてよいのなら、まず一台パソコンを配置する。
ネットにつなげる。
ブラウザのホームページをグーグルマップにする。

警官一人くらいはいらなくなりそうです。


17:20 渋谷



電車にゆられること10分。渋谷に到着した。

はて。渋谷についたはいいがどこの歯医者にしよう。

改札を出たすぐ脇に交番があったが、今回は決して聞く気になれなかった。
人間こうやって大人になっていくだ。

もとい。
自身、実は渋谷に多くの歯医者があることを知っていた。
なぜなら以前の職場が渋谷で、当時虫歯になったとき、かなり探したからだ。
インターネットで。

いまだかつて医者をヤブ呼ばわりしたことないが、仮にそう呼んでいいとしたら、
その時かかった歯医者がかなりそれに近かった。と感じた。
彼は年配で、にもかかわらず自信をもっていなかった。
そういう意味では、自信満々に振舞いそうなやぶ医者とは違ったか。

ほんと不器用なんだ。
俺としては、渋谷に、前衛的でアシッドなジャズロックを聞きに行ったのに、
どういうわけかグループサウンズがステージに立って生ぬるい演奏をしている、みたいな、
本人もどこか時代錯誤を感じながら、それしかできないんです、みたいな、
そんな感じなのだ。
俺以外の客がいないのがよく理解できた。


そんな記憶を蘇らせながら、ビルの上の方の看板を見上げ歩いていた。
歯医者はどこにあるのかな、と。
すると、

渋谷セントラル歯科

という看板が目に入った。
そういえば、ここ、たしか同僚が薦めてところだ。
ここにしよう!
ということで駅前のすごく狭いビルに入ってみる。
エレベーターに乗って5階に到着。

ピンポーン!!ピンポーン!!

エレベーターの扉が開くと同時にけたたましい音で俺の到来が通知された。
扉の目の前がいきなりソファーだ。3人がけ程度の。
どうやらここが待合室らしい。
すでに女性が一人座ってて、すごく狭い。
左を見ると小さな受付があった。
受付なのに誰も居ない。

しばらく突っ立ってみたが誰も来ない。

なぜ?なぜ、あんだけ大きな通知音を出したのに誰も来ないんだ?
大きめな音量のBGMに紛れ、診察室の方から大きな話し声が聞こえている。

人はいるっぽいのになぜ出てこない。
目の前に呼び鈴があった。

「呼び鈴を押してください」

と書いてある。

え?さっきあんなでかい音が十分に響き渡ったのに、また呼ぶのか?
しかし、誰も来てくれないので、一発押してみた。

ピンポーン!!ピンポーン!!

さっきと同じくらいの大きさで響き渡る。
しかし、誰も来ない!いやー、どうしたんだろう。

しばし立ち往生していると、ようやく現れた。

ガングロの医者だ。これは確かに渋谷っぽい。


この後もうふた盛り上がりしそうなんだけど、疲れたのでやめます。

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