自分の脳が、この人生の一歩一歩を描き出しているのか、
一歩一歩が、自分の脳を形作っていくのか
どうやらどっちが先ってのはなく、人生も脳も相関しあっているようだ。
昨日は梅雨の晴れ間。
昼過ぎに家を出て、だいたい登戸か向ヶ丘遊園に辿りつく予定で歩いた。
道が分かれていたとする。
選ぶとしたら、
細い道、小高いところへ登っていく坂、自然の匂いのする方向、
ひと気のない場所、そして暗がり。
そうやって歩いていると、たいがい、見晴らしのいい丘に出ている。
「あの坂を登れば」
小学校三年のとき、国語の教科書に出てきた話。
息を上げながらも心はすっかりそんな感じだ。
ふとした瞬間、このメガネに引っかかる被写体が見つかる。
写真を撮りたくなる。
そこはなんでもない住宅街だったりする。
「このご時勢、不審者に思われたらどうしよう」
見てくれが30過ぎのおっさんであることを思い返し、感慨深くも少し嘆く。
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およそ生田緑地についたあたりだった。
一本の細い、家と草に挟まれた、薄暗い緑に続く階段があった。
ぐんと引き寄せられた。
多分、7次元目くらいに心の次元があって、緩やかな坂になっている。
コロコロと転がりはじめるのは必然だ。
階段を歩き出して暫くは、ひとんちに到着する確率30%状態、が続いた。
もし本当にひとんちに向かう道だったらこれは完全な不審者だな・・
もしそんな中、住人が俺の存在に気づいたら、なんと答えよう。
「あ、、えー、ここは森に続く道じゃなかったですか?」
これでいいんだろうか。
なんか駄目そうだ。
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一気に開けた。
視界に入ってきたのは大きな森だった。
ときめいた。
あたり一面森。
まるで山のど真ん中だ。
あああ楽しい。
こんなのが楽しいと思ってしまう。
この感覚、仕事と変わんないな、と思った。
今の仕事、けっこうこれと変わらない。
多分、いける。いや、多分というか、絶対いける。はずである。
いつもそういう感じで歩きはじめる。
ゴールは見えにくく、道筋は明らかに完全ではない。
だから、分かってもらえないことが多い。
それを説明するのも仕事なんだろうけど、
そもそも説明できるほど、整理できていないので、
できれば直感で分かってもらえるとありがたかったりする。
そう、見えるゴールは、歩き出す前に歩き終わってる気がしてしまう。
といっても、俺のは、まったくもって、アルプスの頂を計画的に攻めるほどのものではない。
知らないところを散歩する、その程度だ。
そっか、散歩か。
少し、今の仕事を与えてくれている会社に感謝しようと思った。
このうちとか、たまらない。
生田飯室東地区急傾斜地崩壊危険区域
という全文字漢字の地域だった。
どおりで森が残っているわけだった。
ほんの少し行くと、向ヶ丘遊園の駅に着いた。
そこから生田を過ぎ、読売ランドまで歩いた。
電車とバスと歩きでうちまで帰った。22時を過ぎていた。
そういえば、帰りのバスから真っ暗な森が見えた。
暗闇は怖い。けれど神秘的だ。
多分、この脳にはまだまだ未開の部分があるんだと思ってる。
知らないところへ行くことは、この脳を開拓することと同じなんだと感じている。
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