2008年1月22日火曜日

もう一個の地球

やっぱりグーグルはもう一個の地球を作ろうとしている。

Google Earthという。

そこは物理的な制約を受けない空間。一瞬で東京ディズニーランドにもいけるし、本場のディズニーランドにもいける。SpaceNavigatorを使えば、階段だって歩くように登れるし、部屋の中にも入れるし、リアルではできない壁を通り抜けるということもできてしまう。最近は、画像はもとより、ユーチューブの動画まで地図上に関連付けられるようになっている。

実はもっと多くの情報を緯度経度にリンクさせることができる。例えば、賃貸分譲物件とか、今はそういったサイトで検索しているけど、グーグルアース上に乗ってくるようになる。多分。それだけじゃなく、物理的なモノはすべて緯度経度をもっているから、それらの情報はすべてグーグルアース上に乗せることができる。

そうするとどうなるか。

ベジータのメガネを覚えているだろうか。

スカウターというヤツ。

あれがリアルにできるようになる。

緯度経度に情報がマッピングされているから、自分の居場所と、見ている方向さえ分かればまったく同じことができてしまう。カーナビがそれをやっているから、単純にそれを軽量化できればいいわけだ。実はこれができる。メガネ型のスクリーンも存在するし、携帯で位置を確認することもできるから、技術的な問題はほとんどクリアされているといえる。

ちなみに、GPSなし携帯で位置を確認するMy Locationというのを昨年Googleが公開している。

自分が知っている場所の情報を登録するとする。
世界中の人がそれをするとする。

どうなるか。


見渡す限り情報の海だ。
もう知らない場所はどこにもない。


果たして僕らはそれをどう思うんだろうか。


さらに最近、予想していた通り、時間軸のスライダーで過去を遡れるようになった。おそらく、やがて時間をもっと遡って、江戸時代も見られるようになるだろうし、室町だって、平安だって、卑弥呼だって見られるようになるんだと思う。もちろん、不足した情報は空想で補うことになるんだろうけど。それからもっと遡れば、氷河期や、恐竜のいたジュラ紀とか白亜紀とかにたどり着くことになる。大陸の移動だって手に取るように分かるし、ひょっとするとひょっとして、ピラミッドがどうやってできたのかも確認できるのかもしれない。ナスカの地上絵なんて、今から100年も遡ればなくなるかもしれない。あれはペルー政府がど田舎に観光客を呼び込むための作り話だったとか。

さらに遡るとどうなるか。

そうです。地球がなくなります。

さらに遡るとどうなるか。

そうとういくと、ビッグバンにたどり着きます。

その前はどうなるか。

この前は非常にセンシティブな問題になってくるのでここでは止めておこう。



ところで小説『モモ』に登場する観光ガイドのジジがこんなことを語る。

うつくしい自由の国、アメリカからおいでのあなたがたも赤い玉とあだ名された世にも残虐な暴君、マルクセンティウス・コムヌスのことはもちろん、ご存じないでしょう。この暴君は当時の世界を自分の思うとおりに変えようと企てた人なのです。ところが人間はどうやっても結局は同じようなままでしたし、そう簡単には変わらないものだとわかっただけでした。そのためマルクセンティウスコムヌスは晩年に至ってついに気が狂ってしまいました。当時はもちろんご存知のようにこういう心の病気を治せるお医者はまだいませんでしたから、人々はこの暴君を暴れるだけ暴れさせておくより他ありませんでした。妄想に駆られたマルクセンティウスコムヌスは今度は今ある世界など見捨ててしまって、完全に新しい世界を作り出すほうがいいと思いつきました。そこで彼は、これまでの地球とまったくおなじ大きさの新しい地球を作れと命令しました。しかもそこには、古い地球にあったものはすべて、建物のも木も山も海も川もそっくりおなじにつくらなくてはいけないというのです。当時の人々は一人残らず、このとてつもない大事業に借り出されました。

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もちろんこの玉の作成にはとてもたくさんの材料がいりましたが、ぞの材料は地球からとってくるしかありません。ですから玉が大きくなるにつれて、地球はだんだんにやせほそっていきました。新しい世界はあと小石一つ盛ってくれば、いよいよ完成でした。そして古い地球で残っているものといえば、まさにその小石一つきりでした。もちろん人間ははそれまでに全部新しい地球に移っていました。マルクセンティウスコムヌスは、これだけの大事業の挙句、結局は何もかも元通りだと知るとトーガで顔を覆って姿をくらませてしまいました。

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今の世界はですね、その新しいほうの地球なんですよ。


ええ、そういうことらしいのです。

つまり、僕らは新しいほうの地球にいて、今度また新しい地球に移り住もうとしているのです。

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