2006年6月16日金曜日

オレオレからの電話

アマゾンでとある本を探していたら、新品で700円するところ、1円で中古販売していた。送料が350円くらいするので大した割安感はないが、そんな商売してて儲かるのかと心配になってしまう。

そういえば先月こんなことがあった。

平日の20時を過ぎたころだったろうか。不意に父親から「今日は何時に帰ってくるの?」と携帯にメールが来たのだ。

はて。

父からのメールなんて、ずっと以前にたった一回試しに送ってもらった時以来だったし、そもそもその日実家に帰る予定などまったくなかったのだ。 すぐさま実家に電話をすると、母が

「あんた何時に帰ってくるの?ご飯は作っておいたけどあまり遅いと寝ちゃうからね。相談ってなんなのよ?」

あ?なのこと?

記憶力に自信がないだけに、必死に思い返してみた。しかし、何を言ってるのかさっぱり分からない。すると母が、

「あんた何とぼけてるの?昼に電話してきたでしょう!相談があるって言ってたじゃない。何なんのか聞いたら、うちに帰ったら話すよ・・・と元気なさそうに言ってたじゃない!」

という。

はあ?

ますます分からない。俺は仕事しすぎで頭が可笑しくなってしまったんだろうかと考えた。夢遊病の気も断じてない、とは言い切れないし。なにがどうなったんだろう、ひどく困惑した。しかし、昼はみんなと食事してたぜ俺。。あ・・・!

「ちょっとまってよ、それオレオレ詐欺じゃないの?そいつなんて名乗ってた?」

「俺だけど・・って言ってたわよ。」



「でも、お金振り込めとは言ってないわよ。あんたの声そっくりだったし。ちょうどそんな風に声が響いてたわよ(俺は声の響く階段で話していた。)。すごい落ち込んだ感じだったから、あれはほんとよ。間違えてうちに書けちゃったのかしら。」

「あほだな(笑)!それ向こうの手口だよ。」

だがしかし母の話を聞けば聞くほど、その相手との数分のやりとりがえらく普通に成立していて驚くばかりなのだ。結果として、母は俺をひどく心配し、晩飯を作り、布団まで敷いて俺の帰りを待つことになったのだ。
でもどうしてそいつは金を振り込めと言わなかったのだろうか。電話を終えた後、そこが引っ掛かりしばらく考えた。

つづく。


つづき。 すっかりその気になってる母に対し、なぜ彼は決まり文句の台詞を言わなかったのか。母との会話中に、なにか警戒心を抱かせる、振り込め詐欺を断念せざるを得ない要素でもあったのだろうか。

いやちょっとまてよ

ひょっとして二段作戦ではないか?一度目の電話で不安に陥れておいて、その後、警察かなんかの振りして再度電話して振り込ませようという手口では?ああそうだ。帰宅すると言いながら夜半になっても帰宅しない俺を案じさせ、何か事件でも起きた風な感を匂わせておき、そこにとどめの電話をする計画に違いない。
これはまずい。俺はすぐさま実家に電話をした。そして、暫くは俺は携帯にしか電話しないので、イエデンに掛かってくる俺は俺と思わないよう伝えた。まあ母は相変わらず普通に成り立った会話を大笑いしながら切々と俺に話していたが。

一晩開けて。

どうやらその後電話は掛かってこなかったらしい。
実はこういうことだったらしい。彼らは二回目の電話を銀行の振込み業務終了時間の直前にしたようなのだ。時間ギリギリを狙い、今すぐ振り込まないと大問題になると迫真の演技で忠告するのだそうだ。
んだがその時間はあいにく母は家におらず、誰も電話に出ることはなかった。残念ながら。
というオチらしい。 彼らは手当たり次第電話をしていて、少しでも分がないと判断すると一方的に向こうから電話を切るようなのだ。知人のうちには何度も、それぞれ違うストーリーを用意して掛けてきたという。
まあ、その演技力を生かして、オレオレ詐欺集団で劇団でも作ったらどうなんだろうかと、きっとモデル上がりの俳優よりはよほどナチュラルな演技をするのではと思ってしまわなくもないがいかがでしょう。そういえば、ちょうど彼ら、車で移動してるというなら、昔いた自転車の紙芝居のおじさんのごとく、町の人を相手に地道な活動でもすれば人情味溢れる素晴らしい話にもなりそうなんだが。

うむ、惜しい。紙一重よの。

長くなりました。ということでこれを読んだ方は気をつけてください。
ではまた。

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